日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2023年12月12日何をするにも『目的』を意識しよう


★ある会社での議論


少し前に耳にした話です。

あるIT関連の会社の役員会で、オフィスへの出勤と在宅勤務のバランスをどう取るのかというテーマで議論をしたそうです。

在宅勤務には、
・通勤がない分、時間に余裕ができて心身への負担が軽減される
・電話がかかってこないし人から話しかけられないので仕事に集中できる
などのメリットがあります。

一方、出社には、
・社員同士、コミュニケーションが取りやすい
・対面の方が話しやすいし、相手の感情面も把握しやすい
といったメリットがあります。

幹部社員は様々な意見を出しながら、今後、出社と在宅をどういう形で進めていくべきか議論しました。

しかし、
「生産性を重視して全面的に在宅勤務にすべきだ」
「社員コミュニケーションを保つために週1回は出社すべきだ」
といった議論が続いて、なかなか結論が出ませんでした。

果てしない議論が続いて社員が疲れてきた頃、社長が

「そもそも、僕たちはどんな会社をつくりたいんだろう?
仕事を通して我々がどのように成長し、その中でどのように楽しむのか、を考えよう」

と発言しました。

そして、この言葉がきっかけとなって、全員が納得できる働き方に関するコンセプトができたそうです。


★常に目的を意識する


私たちは、日常、会議などでなかなか結論が出ない、という状況をしばしば経験します。

そうした場合、結論が出ない原因の一つに『判断する基準や決め手がない』ということがあります。

例えば、上の例のように『在宅』と『出社』にはそれぞれメリット・デメリットがあります。

そのメリット・デメリットだけで議論していても、いつまで経っても理想的な勤務形態に関する結論は出ないでしょう。

こうした場合には、少し視点を変えてみることをお勧めします。

 

『在宅』『出社』は、どのような形で勤務するかという『How』の議論です。

この『How』レベルで議論していても結論が出ないのであれば、視点を変えて

「私たちはどのような会社をつくりたいのか」
「どのような働き方が望ましいと考えているのか」

というように、視座をあげて、議論の論点を『What』に変えてみるのです。

この『What』は『目的』という言葉に置き換えることができます。

私たちは会議の場などで発言する際に、事実の報告や対応すべきことなど目先の『How』にとらわれる傾向があります。

全社員が集まるイベントを企画する場合、何をするか、どういう風に盛り上げるか、という点にばかり目が行きがちです。

しかし、イベントは何かを達成するために行うもののはずです。

つまり、開催する目的があるはずなのです。

その目的=何のためにやるか、そのイベントが終わった後、我々はどういう状態になっていたいのか、ということを絶えず念頭に置きながら議論すれば、効率的・効果的な会議になるでしょう。

何のためにやるのか、どうしたいのか、どうなりたいのか、ということをしっかりと定めると、その後の具体策を議論する際の判断軸ができます。


★話にも目的がある


ところで、この『目的』は話す場合でも意識すべきです。

「話す目的」は会議での議論だけでなく、他の話す場面で常に意識して欲しいのです。

例えば、部下が仕事でミスをした場合、上司は「お前はどうしてミスばかりするんだ!」などと言ってしまいます。

しかし、この場面で上司が話す目的は、部下が二度とミスをしないようにすることです。

この目的を意識していれば、

「期日通りに資料ができたし、文章もわかりやすいね。
ただ、数字の見直しをキチンとしないと今回のようにお客様に迷惑をかけるからその点、注意してもらいたい」
と言するはずです。

この話し方の方が、はるかに目的に沿ったものと言えるでしょう。

 

また、雑談をする際にも、雑談をする目的を意識すると話し方が変わってきます。

雑談の目的は、良い人間関係を作る、ということです。

相手と良い関係を作るために雑談は行うのです。

この目的をしっかりと頭に入れていれば、

「私、セロリが苦手なんだ」
「え~! 美味しいのに!」

などのように、相手を否定するような話はしないはずです。

「私、セロリが苦手なんだ」
「あ~! 確かに苦手な人もいるよね~」

このように相手の感情を害することなく話すことができるでしょう。

 

何をするにも、何を話すにも『目的』をしっかりと意識してください。


★話す際の心構えを学びませんか?


日本話し方センターのベーシックコースの受講カリキュラムは、話す目的をかなり意識した内容になっています。

あいさつにも、自己紹介にも目的があります。

人前でのスピーチはその場によって話す目的が異なるでしょう。

そうしたことを意識して、相手に伝わる話し方ができるよう、講師がしっかりとアドバイスしています。

過去の受講者もその効果を実感されています。ぜひご受講ください!
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